創傷治癒を遅らせる因子はどれか。3つ選べ。
a: 糖尿病
b: 低タンパク血症
c: 妊娠
d: 高血圧
e: 副腎皮質ステロイド薬の投与
生体は組織障害を受けると、それを治癒させようとする生体反応である創傷治癒が生じる。創傷治癒は、受傷直後~数時間後の血液凝固期、受傷直後~約3日間の炎症期、受傷後4日~2、3週間までの増殖期、受傷後数週~数か月にわたる成熟期に分類される。創傷治癒遅延の要因には、全身要因として、加齢、低栄養、低アルブミン血症、糖尿病、副腎皮質ホルモンの内服などがある。 また局所因子として、感染、血行障害、圧迫などがある。
a:正解。糖尿病では、インスリン作用不足による異化亢進状態にあるため、組織修復に必要なタンパク合成が障害される。
b:正解。低タンパク血症では、肉芽組織、毛細血管、表皮などすべての細胞や組織修復に必要な素材であるタンパク質不足をきたす。
c:通常の妊娠では、創傷治癒は遅延しない。
d:末梢の血流が保たれていれば、高血圧でも創傷治癒は遅延しない。
e:正解。タンパ質異化を進め、コラーゲン合成、肉芽組織形成を阻害し、創傷治癒遅延を引き起こす。