誤っているのはどれか。
1: p形半導体は不純物半導体である。
2: n形半導体の多数キャリアは正孔である。
3: 高純度のシリコン結晶は真性半導体である。
4: 空乏層はpn接合部に生じる。
5: 理想ダイオードに順方向電圧を印加すると電流が流れる。
真性半導体とは、添加物を混ぜていない純粋な半導体のことを指す。しかし、実際には不純物などの欠陥は固体中に必ず存在するため、欠陥の影響を無視できるような半導体を真性半導体と見なすことになる。価電子帯の電子が熱や光によって伝導帯に励起することで、伝導帯には伝導電子が、価電子帯には正孔が生じ、この2種類が真性半導体のキャリアを担う。
不純物半導体とは、純粋な真性半導体に不純物を微量添加した半導体のこと。ドーピングする元素により、キャリアがホール(正孔)のp形半導体と、キャリアが電子のn形半導体に分類される。n形とp形のどちらになるかは、不純物元素の原子価、その不純物によって置換される半導体の原子価によって決まる。
p形半導体とは、電荷を運ぶキャリアとして正孔(ホール)が使われる半導体である。正の電荷を持つ正孔が移動することで電流が生じる。つまり、正孔が多数キャリアとなる半導体である。 例えばシリコンなど4価元素の真性半導体に、微量の3価元素(ホウ素(B)、アルミニウム(Al)など)を添加することでつくられる。不純物半導体に含まれる。正(positive)の電荷を持つ正孔が多数キャリアであることから、英語の頭文字をとってp型半導体と呼ばれる。
n形半導体とは、電荷を運ぶキャリアとして自由電子が使われる半導体である。負の電荷を持つ自由電子がキャリアとして移動することで電流が生じる。つまり、多数キャリアが電子となる半導体である。 例えば、シリコン(Si)など4価元素の真性半導体に、微量の5価元素(リン(P)、ヒ素(As)など)を不純物として添加することで電子が一つ余分に生じる。この余剰の電子は伝導帯のすぐ下にあるドナー準位に収容され、このドナー準位と伝導体のバンドギャップは小さいためドナー準位の電子は熱的、光エネルギーを加えることにより電子が伝導帯に励起され自由電子となり、電気伝導性を与える。負(negative)の電荷を持つ自由電子が多数キャリアであることから、英語の頭文字をとってn形半導体と呼ばれる。
1:不純物半導体とは、純粋な真性半導体に不純物を微量添加した半導体のことである。p形半導体とは、電荷を運ぶキャリアとしてホールが使われる半導体である。
2:正解。n形半導体とは、電多数キャリアが電子となる半導体である。p形半導体の多数キャリアは正孔である。
3:真性半導体とは、添加物を混ぜていない純粋な半導体のことを指す。高純度のシリコン結晶は真性半導体とみなせる。
4:p型半導体とn型半導体の境界面を、pn接合と呼び、p型半導体とn型半導体を接合すると、それぞれのキャリアである正孔と自由電子が引き付けあって、境界付近で結合し消滅する。この付近はキャリアが存在しなくなるため、空乏層と呼ばれ、絶縁物と同じ状態になっている。
5:理想的なダイオードとは、順方向電圧がゼロで一方向のみに電流を流す特性を持つものをいう。