後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に発症しやすい感染症はどれか。4つ選べ。
a: ニューモシスチス肺炎
b: 食道カンジダ症
c: 帯状疱疹
d: マイコプラズマ肺炎
e: 肺炎球菌性肺炎
後天性免疫不全症候群(Acquired Immuno Deficiency Syndrome:AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)の感染によって引き起こされる疾患である。適切な治療が施されないと重篤な全身性免疫不全により日和見感染症や悪性腫瘍を引き起こす状態をいう。
主な感染経路には、①性的接触、②母子感染(経胎盤、経産道、経母乳感染)、③血液によるもの(輸血、臓器移植、医療事故、麻薬等の静脈注射など)がある。
AIDSの合併症には、日和見感染症や悪性腫瘍などがある。
【日和見感染症】結核、帯状疱疹、ニューモシスチス肺炎、トキソプラズマ脳炎、CMV感染症、全身性非定型抗酸菌感染症、食道カンジダ症 など
【悪性腫瘍】悪性リンパ腫
a:正解。ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis pneumonia:PCP)は、AIDSや抗がん剤治療中の患者さん、ステロイド服用中の膠原病患者など、免疫不全の状態にある患者が真菌の一種であるPneumocystis jirovecii(ニューモシスチス イロベチイ)に感染することにより起こりる。
b:正解。食道カンジダ症は、免疫不全の状態にある患者が真菌の一種であるCandida albicansに感染することにより起こる。
c:正解。水痘・帯状疱疹ウイルスが原因で、AIDSでは免疫機能が低下しているため、帯状疱疹を発症するリスクが高くなる。AIDSでみられる帯状疱疹は、通常の臨床像とは異なり、2回以上の再発や2神経支配領域以上の複発・両側・多発性などが見られる。
d:マイコプラズマ肺炎は、肺炎マイコプラズマ( Mycoplasma pneumoniae )という細菌に感染することによって起こる呼吸器感染症である。小児や若い人の肺炎の原因として、比較的多いものの一つ。AIDS患者に特異的に発症しやすいわけではない。
e:正解。肺炎球菌性肺炎は、肺炎球菌という細菌によって引き起こされる肺炎である。HIV感染者では、非HIV感染者に比べて肺炎球菌性肺炎のリスクが5~8倍高いといわれている。