解説付 臨床工学技士国家試験 第37回 午前:第19問

手術部位感染症の予防策はどれか。3つ選べ。

a: 術前からの血糖管理

b: 医療者の手指衛生

c: 周術期の抗菌薬投与

d: 術中の低体温

e: 手術後抜糸までのガーゼ被覆保護

手術部位感染症(Surgical Site Infection:SSI)とは、手術の創部で起こる感染症のこと。術後30日以内(人工物を挿入した場合は1年以内)に発生する感染を指す。術後の入院期間の延長、医療費の増大、患者のQOL(生活の質)の低下、生命の危機、 術後治療の遷延を来す。適切な予防策の実施によりSSIの55%は予防可能であると言われている。

対策内容
黄色ブドウ球菌鼻腔保菌者対策黄色ブドウ球菌を鼻腔保菌している患者は
高頻度に黄色ブドウ球菌による SSI を起こすことが知られている
手術時皮膚消毒手術野となる皮膚の消毒には主にポビドンヨードあるいは
アルコール含有クロルヘキシンジングルコン酸塩が
汎用されているのが現状である
手術用手袋二重手袋や手袋交換を行うことが推奨されている
高濃度酸素好中球は酸素化により細菌を殺菌する原理を用いて、
全身麻酔と術直後に高濃度酸素投与が推奨されている
手術開始時の予防的抗菌薬手術前 1 時間以内予防的抗菌薬が推奨されている
予防的抗菌薬の術中追加投与予防的抗菌薬の術中追加投与について
WHO のガイドラインは推奨なしとなっている
抗菌縫合糸トリクロサンコーティング縫合糸の使用を推奨されている
予防的ドレーン留置多くの消化器外科手術では
予防的ドレーン留置に否定的となっている
縫合創に対する陰圧閉鎖療法難治創に対する極めて高い治療効果がある

a:正解高血糖状態が続くと、白血球の働きや免疫機能が低下し、殺菌能が低下する。術前からの血糖管理が重要である。目標血糖値は110 ~ 150 mg/dlである。

b:正解。術前にスクラビング法あるいはラビング法で手洗いを念入りに行、手術用手袋を着用する。スクラビング法は、スクラブ剤を用い、ブラシを使用して手と前腕をブラッシングし消毒を行う方法。ラビング法は、普通石けんと流水を用いて手と前腕の汚れを洗い落とし、未滅菌ペーパータオルを用いて水分を拭き取り、完全に乾かした後、アルコール手指消毒剤を用いて手と前腕を消毒する方法である。

c:正解。手術開始時の予防的抗菌薬として、手術前 1 時間以内予防的抗菌薬が推奨されている。

d:手術患者に起こる低体温が周術期の出血量、輸血量、感染症の増加、回復・入院期間の延長、心イベントの増加により医療コストの増大と関係することの報告がある。

e:術後24~48時間は滅菌被覆材で創部を覆うことが推奨されている。また、術後48~72時間経過すると皮膚は癒合し、皮膚表面から細菌汚染される心配はなく、基本的にそれ以降は被覆の必要はないとされている。

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臨床工学技士 国家試験 過去問
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