解説付 臨床工学技士国家試験 第37回 午前:第29問

カプノメータについて正しいのはどれか。

1: 赤色光と近赤外光の2波長を用いて測定する。

2: 呼気中の酸素濃度を測定する。

3: メインストリーム方式はサイドストリーム方式よりも死腔が小さい。

4: メインストリーム方式にはウォータートラップが必要である。

5: サイドストリーム方式では持続的にサンプルガスを吸引する。

カプノメータは、呼気中の二酸化炭素(CO2)の濃度を測定する機器で、呼気終末二酸化炭素分圧(partial pressure of end-tidal CO2:PETCO2)値と、その波形が表示される。
主に手術室やICUなどで、麻酔器や人工呼吸器で管理されている患者の換気状態を評価するために使用される。
呼気の初めは口元に死腔のガスが呼出されるため、CO2は0だが、その後急激に呼気中のCO2が増加し、さらに呼気が進むと緩やかに上昇する。吸気が開始すると口元のCO2の濃度は急激に0になる。
CO2は細胞のエネルギー代謝により生産され、血液循環、肺胞、気道を経由して呼出される。その過程において様々な影響を受けるため、呼吸、循環、代謝、人工呼吸器などの影響で増減する。
カプノメータは呼気のサンプリング方式の違いから、サイドストリーム方式メインストリーム方式の2つにわけられる。

原因上昇下降
呼吸肺胞換気量の低下
(低換気、閉塞性肺疾患)
無呼吸
肺胞換気量の増加
循環肺血流量の増加
(心拍出量の増加、敗血症)
肺血流量の増加
(心停止、肺塞栓)
代謝CO2産生の増加
(発熱、疼痛)
CO2産生の低下
(低体温、鎮痛)
人工呼吸器呼気弁の異常による再呼吸
(1回換気量の不足)
呼気回路のリーク
過換気
気管チューブの閉塞
その他CO2の供給食道挿管
EtCO2に影響する因子
サイドストリーム方式メインストリーム方式
長所
回路にセンサを取付けないため、患者の負担が比較的少ない
他ガスの同時測定ができる
死腔が小さい
長時間使用の安定性が良い
応答が速く、波形歪みがない
速い呼吸、低流量の呼吸でも正確に測定
短所
サンプリングチューブが閉塞しやすく長時間測定にむかない
応答がやや遅く、速い呼吸で波形が歪むことがある
センサを取り付けることで、気管チューブが折れたり曲がることがある
死腔が比較的大きい

1:呼気CO2モニターによる測定は、赤外線吸収法で行われる。これは2種類以上の原子からなる気体は特定
の波長の赤外線を吸収することを応用している。CO2は 4.26μm 付近の赤外線を吸収する。

2:呼気中の二酸化炭素(CO2)の濃度を測定する機器で、呼気終末二酸化炭素分圧(PETCO2)値と、その波形が表示される。

3:メインストリーム方式には、応答時間が短い、重く死腔量が多い、結露の影響を受けやすい、40 ~ 50℃まで温度が上がる、センサー受光部が汚染されると誤差が大きくなる等の特徴がある。

4:ウォータートラップは不要であるが、結露の影響を受けやすく、また、センサー受光部が汚染されると誤差が大きくなる特徴があるため、呼吸回路内に水の貯留がないか確認する。

5:正解。呼吸回路から細いサンプリングチューブを接続し、ガスを一定の速度(50 ~ 200mL/ 分)で測定装置に吸引するサイドストリーム法がある。

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臨床工学技士 国家試験 過去問
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