播種性血管内凝固症候群(DIC)の特徴的所見はどれか。
1: プロトロンビン時間(PT)の短縮
2: フィブリノーゲン値の上昇
3: フィブリン分解産物(FDP)値の上昇
4: ヘモグロビン値の上昇
5: 血小板数の増加
播種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation:DIC)は、さまざまな疾患が原因で全身の細血管内に微小血栓ができたり止血しにくくなったりする症候群のことである。血液の凝固が亢進し、微小血管内にフィブリン血栓が形成され、血小板と凝固因子が消費される。そのため出血傾向を呈し、さらに二次的線維素溶解も亢進するため、出血傾向がより一層強まる。
血小板減少、プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)の延長、フィブリノゲン低下、フィブリン分解産物(FDP、D-ダイマー)の増加を認める。
基礎疾患 臨床症状 | 基礎疾患:1点 出血症状:1点 臓器症状:1点 |
Plt(万 / µL) | 8~12:1点 5~8:2点 <5:3点 |
FDP(µg / mL) | 10~20:1点 20~40:2点 >40:3点 |
FIB(mg / dL) | 100~150:1点 <100:2点 |
PT比 | 1.25~1.67:1点 >1.67:2点 |
DIC診断 | 7点以上 |
基礎疾患 臨床症状 | 必須項目、要除外診断 SIRS(3項目以上):1点 |
Plt(万 / µL) | 8~12 or 30%以上減少 / 日:1点 <8:or 50%以上減少 / 日:3点 |
FDP(µg / mL) | 10~25:1点 >25:3点 |
FIB(mg / dL) | ー |
PT比 | >1.2:1点 |
DIC診断 | 4点以上 |
1:プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は延長する。凝固因子の消費や肝機能障害が原因である。
2:微小血管内にフィブリン血栓が形成されるため、血小板と凝固因子が消費される。その結果、血小板数が減少するだけでなく、フィブリノーゲンも減少する。
3:正解。身体にできた血栓は次々と溶けてしまうため、血栓の分解時にできるフィブリン・フィブリノゲン分解産物(FDP)や血栓が溶けた際に生じる物質であるD-ダイマーが増加する。
4:血小板や凝固因子が体内で大量に消費されるため、それらが量的に著しく減少して、非常に出血(ヘモグロビン減少)しやすくなる。重症化すると溶血性貧血を伴う場合がある。
5:血小板や凝固因子が体内で大量に消費される。