解説付 臨床工学技士国家試験 第37回 午前:第21問

ヘリコバクター・ピロリ菌感染と関連しないのはどれか。

1: 胃癌

2: 十二指腸潰瘍

3: MALTリンパ腫

4: 特発性血小板減少性紫斑病

5: 逆流性食道炎

ヘリコバクター・ピロリ菌感染症とは、胃や十二指腸の粘膜に寄生する細菌であるヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)が原因で起こる感染症である。感染による炎症が長期に持続すると萎縮性胃炎となり胃の粘膜が萎縮していき、炎症がさらに持続することで、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃癌などの疾患を引き起こす。ほとんどが小児期(特に0歳〜5歳くらいまで)に感染する。成人の場合は、胃酸や免疫力の働きによって自然に排出されることが多い。

関連疾患
胃潰瘍
十二指腸潰瘍
胃MALTリンパ腫
特発性血小板減少性紫斑病
早期胃がんに対するEMR後胃
萎縮性胃炎
胃過形成性ポリープ症
機能性ディスペプシア
鉄欠乏性貧血
慢性蕁麻疹
動脈硬化症

1:ヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると、胃がんのリスクが約5倍に高まることがわかっている。ピロリ菌が胃の粘膜に炎症を起こし、その炎症が長く続くと粘膜が萎縮して胃癌に繋がる。

2:ピロリ菌に感染すると慢性胃炎となり、その結果として十二指腸潰瘍を引き起こす可能性がある。十二指腸潰瘍の患者のうち約80~90%がピロリ菌に感染している。

3:胃に発生するMALTリンパ腫は、約90%がピロリ菌の感染による慢性胃炎が原因である。感染による炎症によってB細胞が増殖し、染色体異常の頻度が高くなることで腫瘍化していく機序が発生要因と考えられている。

4:特発性血小板減少性紫斑病(Idiopathic Thrombocytopenic Purpura:ITP)の患者でピロリ菌に感染している率は60%程度である。ピロリ菌が胃の粘膜に感染することで慢性的な炎症を引き起こし、それが免疫系と血小板生成に影響を与えることで血小板数が減少すると考えられている。

5:正解。胃酸が食道に逆流することによって引き起こされるもの。加齢による変化、胃内圧の上昇(食べ過ぎ、早食いなど)、腹圧の上昇(肥満、衣服による締め付けなど)、高脂肪食などが原因で起こる。ヘリコバクター・ピロリ菌に感染すると胃酸分泌が低下するため、逆流性食道炎の発生を抑えていると考えられている。

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臨床工学技士 国家試験 過去問
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