二次性高血圧症の原因とならないのはどれか。
1: 原発性アルドステロン症
2: クッシング症候群
3: 腎動脈狭窄
4: 褐色細胞腫
5: 副腎不全
高血圧の大半は生活習慣や遺伝要因による発症する本態性高血圧ですが、中には他の疾患が原因で血圧が上昇する二次性高血圧がある。
高血圧を症状の一つとする疾患は全て二次性高血圧の原因となる。高血圧から発見されやすい二次性高血圧として、原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの内分泌疾患、腎血管性高血圧などの血管疾患、睡眠呼吸障害(睡眠時無呼吸症候群)、薬剤誘発性高血圧などがある。主な二次性高血圧の原因疾患を以下表に示す。
原因疾患 | 示唆する所見 |
腎実質性高血圧 | 蛋白尿、血尿、腎機能低下、腎疾患既往 |
腎血管性高血圧 | 急な血圧上昇、腹部血管雑音、低K血症 |
原発性アルドステロン症 | 四肢脱力、夜間多尿、低K血症 |
クッシング症候群 | 中心性肥満、満月様顔貌、皮膚線条、高血糖 |
褐色細胞腫 | 発作性・動揺性高血圧、動機、頭痛、発汗、神経線維腫 |
先端肥大症 | 四肢先端の肥大、特有の顔貌 |
甲状腺機能低下症 | 徐脈、浮腫、活動性減少、脂質、CPK、LDH高値 |
甲状腺機能亢進症 | 頻脈、発汗、体重減少、コレステロール低値 |
副甲状腺機能亢進症 | 高Ca血症 |
大動脈縮窄症 | 血圧上下肢差、血管雑音 |
睡眠時無呼吸症候群 | いびき、昼間の眠気、肥満 |
薬剤誘発性高血圧 | 薬剤使用歴、治療抵抗性高血圧、低K血症 |
1:高血圧患者の5~10%を占めているといわれており、代表的な二次性高血圧である。 副腎から血圧を上昇させるホルモン(アルドステロ)が過剰に分泌されることにより、高血圧を呈する。
2:副腎の腫瘍によって起こる病気で、この腫瘍からコルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることで起こる。 コルチゾールはアルドステロンと同じような作用をもっているので、過剰に分泌される事で体内の塩分量が増加し血圧が高くなる。
3:腎動脈が狭くなり、腎臓への血液の流入量が減少すると、それに反応してレニンの分泌量が増え、血圧を上昇させるホルモン(アンジオテンシンⅠ、Ⅱ)が活性化される。
4:褐色細胞腫では、カテコラミンが過剰に分泌され、高血圧や頭痛、動悸、発汗、不安感、便秘、腸閉塞(麻痺性イレウス)など多様な症状を呈することがある。
5:正解。副腎不全では、コルチゾールをはじめとした副腎皮質ホルモンが不足し、易疲労感、 全身倦怠感 、脱力感、筋力低下、体重減少、低血圧などがみられる。