手術患者の肺血栓塞栓症の予防法はどれか。3つ選べ。
a: 早期離床
b: 酸素療法
c: 抗血小板療法
d: 抗凝固療法
e: 弾性ストッキングの装着
肺血栓塞栓症の原因とは、すなわち深部静脈血栓症の原因である。血液凝固能の亢進、静脈血流のうっ滞、静脈壁の障害の3つの因子が種々の程度に重なって、深部静脈血栓症を生ずる。 先天性凝固異常、手術、出産、外傷、癌、長期臥床などが誘因となるが、先天性凝固異常には未解明の部分が多い。
(危険因子)
・寝たきりの状態
・手術時あるいは手術後
・脱水状態
・静脈血栓症の既往
・先天的な血液凝固異常
・心疾患、悪性腫瘍、脳卒中の既往
・下肢の骨折で自由に動けないとき
・高齢
・高度の肥満
・血管撮影
・骨盤内の大きな腫瘍の存在
・喫煙
・妊娠
・経口避妊薬の服用
(肺血栓塞栓症の予防)
・圧迫ストッキングの着用
・弾性包帯の使用
・足や下腿への圧迫ポンプ装備
・抗血栓剤の投与
・足の運動
・早期離床
a:正解。長期臥床などが誘因となるため、早期離床は重要である。
b:酸素投与を行うことで、静脈内の血栓形成を抑制することはできない。
c:血流の低下した深部静脈内で生じる血栓形成に血小板はあまり関与していないため、予防法としての抗血小板療法は有効でない。
d:正解。内因性凝固の与える影響が大きく、抗凝固療法は有効である。
e:正解。深部静脈内にうっ滞する血液量を減少させ、深部静脈血栓の形成を予防する効果がある。