HDに比べたCAPDの特徴として正しいのはどれか。2つ選べ。
a: 小分子溶質の除去に優れる。
b: 循環系への影響が少ない。
c: 不均衡症状が起きにくい。
d: 20年以上の長期透析が可能である。
e: 糖負荷量が少ない。
慢性腎不全における腹膜透析(CAPD)と血液透析(HD)の違いをまとめる。HDと比較してCAPDは以下のようになる。
・食事制限:緩やか
・中分子除去能:大きい
・小分子除去能:小さい
・タンパク質喪失量:大きい
・血液、体液への影響:比較的小さい
・血糖、脂質値:上昇しやすい
CAPDではHDと異なり、浸透圧と拡散現象を用いて尿毒物質の除去を行う。長時間、透析液を腹腔内に入れておくと濃度勾配がなくなり拡散が弱まる。6時間ほどでクレアチニンの拡散も止まるので透析液を交換するという原理である。血液透析と異なり、限外濾過ではなく浸透圧による除水を行い、浸透圧物質としてブドウ糖やイコデキストリンを用いている。そのため糖尿病の患者では血糖コントロールが不安定になりやすい。
a:CAPDで腹腔内に貯留する透析液は1回あたり2L程度であり、大量の透析液を用いるHDと比べて拡散効率が低いため、小分子除去能は劣る。
b:正解。CAPDは体外循環を必要とせず、除水速度が緩徐であることからHDと比較して循環系への影響は少ない。
c:正解。溶質の濃度変化が緩徐であり、HDと比較して不均衡症候群が起こりにくい。
d:長期間にわたる腹膜透析には被嚢性腹膜硬化症という合併症のリスクがあるため、4 ~5年程度で血液透析へ移行する必要がある。また、主要なトラブルとして腹膜やカテーテル挿入部への感染症があり、予防のために厳密な清潔操作を患者本人が行う必要がある。
e:浸透圧物質として高濃度のブドウ糖やイコデキストリンを用いており、糖負荷量は多い。そのため糖尿病の患者では血糖コントロールが不安定になりやすい。