血液透析によって積極的に除去すべき血中の物質はどれか。3つ選べ。
a: クレアチニン
b: 尿素
c: β2-ミクログロブリン
d: 重炭酸
e: ヘモグロビン
血液と透析液を透析膜で仕切ったとき、濃度が均一になるように溶けている物質の濃度は高い方から低い方へ透析膜を通って移動する。この濃度差による物質の移動、拡散の原理を利用しているものが、血液透析 (Hemodialysis: HD)である。血液透析とは、血液の老廃物除去、電解質維持、水分量維持を行うことである。尿毒素物質としてこれまでにわかっているものは、90 種類ほどが指定されている。この中で、分子量(MW)が 500Da 未満のものを小分子(尿素、クレアチニン、リン等)、500~32000Da以上のものを中分子(β2-ミクログロブリン、副甲状腺ホルモン、FGF23等)という呼び方で分類されている。
透析導入の指標として“AIUEO”という語呂合わせが有名である。
A:Acidosis(アシドーシス)
I:Intoxication(薬物中毒)
U:Uremic symptoms(尿毒症症状)
E:Electrolyte disturbance(電解質異常)
O:volume Overload(体液過剰)
a:正解。筋肉活動時のエネルギー源であるクレアチンの最終代謝産物であるクレアチニンは尿中に排出される物質である。分子量は113の小分子量物質である。
b:正解。食事等で摂取された蛋白の最終代謝産物であり、血中の窒素と結合し、尿素窒素となる。分子量は60の小分子量物質である。
c:正解。血液中にある蛋白質の一種で、あらゆる細胞で産生されるが、おもにリンパ系組織に由来する。透析アミロイドーシスの原因となる物質。分子量は11800である。
d:腎不全患者では、代謝性アシドーシスにより重炭酸イオンは低下しているため、透析液側からの補充が必要である。
e:腎不全患者では、内因性エリスロポエチン欠乏により腎性貧血を呈するため、除去の対象とはならない。