人工心肺を用いた体外循環について正しいのはどれか。
1: ヘパリンは送血管および脱血管の挿入が完了した後に投与する。
2: ACT(活性化凝固時間)は150~250秒に維持する。
3: 目標とする至適灌流量が得られた状態を完全体外循環という。
4: 血液希釈限界はヘモグロビン10g/dLである。
5: 復温灌流中には送脱血温の温度較差を10℃以内とする。
麻酔科医が抗凝固薬(ヘパリン:200~300IU/Kg)を投与したら、ACTを測定する。カニューレの挿入時は、ACTが480秒以上(400秒以上の施設もあり、施設により異なる)であることを確認し、480秒以下の場合はヘパリンの追加投与を検討する。執刀医が送血カニューレを挿入し、送血回路との接続を行う。送血回路のチューブ鉗子を開放してもらい、人工心肺装置操作者は人工心肺側の送血回路に拍動があることを確認し、その後実際に充填液をわずかに送り、異常な回路圧上昇がないことを確認する送血テストを行う。その後、脱血カニューレが挿入され、脱血回路との接続が行われ、体外循環開始となる。体外循環開始と同時に血液は充填液で希釈され、末梢血管抵抗が急激に減少するため、急激な血圧低下(initial drop)を生じることがある。送血流量を予定灌流量まで上昇させたら、目標温度まで温度調整を行う。心室細動もしくは大動脈遮断により血液還流のすべてが体外循環によって維持されている状態を完全体外循環という。SVC、IVCに挿入した脱血カニューレの周囲をターニケットで締めて完全体外循環に移行する場合もある。
1:抗凝固薬投与により、ACTが480秒以上(400秒以上の施設もあり、施設により異なる)であることを確認し、執刀医が送血カニューレおよび脱血カニューレを挿入し、人工心肺回路との接続を行う。
2:体外循環中はACTが480秒以上に維持する。
3:正解。心室細動もしくは大動脈遮断により血液還流のすべてが体外循環によって維持されている状態を完全体外循環という。SVC、IVCに挿入した脱血カニューレの周囲をターニケットで締めて完全体外循環に移行する場合もある。
4:血液希釈限界はヘモグロビン7.0g/dL、ヘマトクリット20%とされている。
5:復温灌流中には送脱血温の温度較差を10℃以内とし、復温装置の灌流水は42℃を超えないよう(42℃以上は設定不可である場合が多い)にする。