解説付 臨床工学技士国家試験 第36回 午前:第71問

人工心肺を用いた体外循環に伴う生体の変化について正しいのはどれか。3つ選べ。

a: 補体系が活性化する。

b: 血小板数が減少する。

c: リンパ球数が減少する。

d: 血中抗利尿ホルモンが減少する。

e: 血中ブラジキニンが減少する。

人工心肺を用いた体外循環では、全身の循環が非生理的な状態に陥る。この非生理的な状況に適合するために、生体には恒常性を維持しようと動く。恒常性維持のために様々な生体反応を示し、その生体反応の中心となるシステム(系)は、神経系、内分泌系、免疫系となる。

a:正解。ヘパリンによる抗凝固では、人工心肺回路に血液が接触した際に第XII因子の活性化を抑制できず、一連の凝固系カスケードは進展していく。第XII因子は凝固系のみならず、線溶系、キニン-カリクレイン系、さらには補体系を活性化する。キニン-カリクレイン系、補体系活性により白血球が活性化される。

b:正解。一次凝集や二次凝集により、血小板数は体外循環中に30~50%減少するともいわれている。また、軽度低体温であっても血小板数や血小板機能は低下する。さらなる低体温では、さらに血小板数、機能低下を認める。血小板の損傷や希釈によっても低下する。

c:正解。体外循環中にリンパ球数は著名に減少する。免疫能低下の主たる要因は、リンパ球減少によるものである。

d:血液希釈によるカテコラミン濃度の低下、定常流等の影響で、体外循環中は増加する。

e:人工心肺回路に血液が接触した際に、プレカリクレインと高分子量キニノゲンが凝固因子である第XII因子を活性化させる。同時にキニン-カリクレイン系も活性化し、ブラジキニンが産生される。ブラジキニンは強力な血管透過性物質であり、浮腫をもたらす。また、血管拡張物質であるため、低血圧をもたらす。

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臨床工学技士 国家試験 過去問
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