解説付 臨床工学技士国家試験 第37回 午前:第31問

超音波画像計測について正しいのはどれか。

a: Bモードでは反射強度が弱いほど明るく表示される。

b: 超音波ビームの幅が広いほど方位分解能が優れる。

c: パワードプラ法は毛細血管の血流観察に用いられる。

d: セクタ走査は心臓の観察に用いられる。

e: 100kHz 程度の超音波を用いる。

人の耳に聞こえる音の範囲は 20Hz~20,000Hzといわれている。これより周波数が高く、人の耳に聞こえない音が超音波と呼ばれる。
医療で使用される高周波の超音波は、空気を伝播しない。超音波の透過が最もよいのは水である。
そのほかの液体・人体の軟部組織・臓器も良好であり、超音波検査が可能である。骨・肺・腸管ガス・石灰化などでは超音波は伝わらない。
検査で用いられる超音波の周波数は、成人腹部(深さ 10~15cm)では 3 ~ 5 MHz、小児腹部(深さ 10cm 以下)では 5~7.5MHz、乳腺・甲状腺・血管(深さ 5cm以下)では、7.5~14MHz の超音波を使用する。
信号の表示方法には、A モード(Amplitude 振幅・強度といった、横軸に時間(距離)、縦軸にエコーの強さを表したグラフ表示と、B モード(Brightness 輝度)といった縦(深さ)を距離、エコーの強さを輝度の明るさであらわすものがある。
プローブの形には、直線的なリニア型、凸型のコンベックス型、扇型にスキャンする先端の小さなセクター型がある。
腹部では、皮膚の接触面が少なくて広い範囲の検査が可能なコンベックス型を主に用いる。セクター型は肋間から検査するので心臓超音波検査に適している。

a:B モードは、反射波の強度をモニター上の輝度に変換し超音波が進む方向と平行な断面での二次元の断層像を得る方法である。反射波の強度が強いものは明るく、弱い者は暗く表示される。

b:方位分解能は超音波ビーム方向と垂直で、超音波ビームの隣あった反射対象を分解して表示する能力である。送受信される音波のビーム幅が小さいほど方位分解能は良くなる。一方、距離分解能は音波の進む方向、即ち深さの分解能であり、プローブの周波数に依存する。パルス幅が短いほど距離分解能は良くなる

c:正解。血流速度や血流方向、ビーム方向に対する血流の角度に関係なくカラー表示が可能で、速度表示法では同定できない微細な血管血流も描出できる。

d:正解。セクタ型は、接地面が極めて小さいのが特徴。 浅部の視野には狭いが、 深部にいくにしたがい扇状に広い視野の観察が可能であり、肋間から心臓を観察するのに適している。

e:超音波検査で使用する超音波は 1~20 MHzである。周波数が高いほど分解能は高くなるが、超音波は深部に行くにつれ減衰し画像が得られなくなる(肥満者は見えにくい)、また周波数が高いほど超音波の減衰も大きく、深部臓器はとらえにくくなる。

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臨床工学技士 国家試験 過去問
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